研究課題/領域番号 |
09440148
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
石井 慶造 東北大学, 大学院・工学研究科, 教授 (00134065)
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研究分担者 |
松山 成男 東北大学, 大学院・工学研究科, 助手 (70219525)
山崎 浩通 東北大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (00166654)
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キーワード | 制動輻射過程 / 原子制動輻射 / 原子核制動輻射 / イオン・原子衝突 / 内殻電離 / 反コンプトンX線検出器 / コンプトンテイル / 連続バックグラウンド |
研究概要 |
本研究では、内殻電子と原子核からの輻射が混在して競合する輻射過程の解明を目的としている。数MeVのイオン衝撃では、この競争過程から発生されるX線のエネルギーは数10keVと期待されるが、原子核反応からのガンマ線が検出器内でコンプトン散乱することによって作られる連続のバックグラウンドがこの領域のX線の測定を妨害する。通常のSi(Li)X線検出器はX線の入射方向に向けて銅の冷却棒が据え付けられているので、X線測定領域に影響を与える0°に近いコンプトン散乱をするガンマ線との反同時計数はできない。そこで、検出部を側面から冷却する高純度SiX線検出器(入口Be窓膜7.5μm、出口Be窓膜100μm、検出面積80mm^2、厚さ5mm、エネルギー分解能ΔE<165eV(5.9keV))とBaF_2ガンマ線検出器(2.54cmφ)を使用することによって、0°に近い散乱をしたガンマ線を容易に測定してコンプトンバックグラウンドを取り除けるX線測定システムを製作した。この成果は、第8回粒子線励起X線(PIXE)とその応用に関する国際会議(Lund、1998年6月14-18日)に発表する予定である。 本研究課題の理論展開も本年度行なった。入射粒子を平面波近似した理論の結果は、この競合過程から得られる連続X線スペクトルの角度分布に非常に顕著な変化が期待できることが解った。そこで、広範囲の角度分布が測定できる大立体角X線散乱槽を製作した。上記の理論的指針に基づいて次年度では、本装置を用いて、高エネルギー連続X線の測定を行ない、内殻電子と原子核からの輻射が混在して競合する輻射過程の解明を行なう。 本研究はX線スペクトルのバックグラウンドの低減化めざしているので、PIXE元素分析に直接関係し、PIXE応用に関する研究も本年度行なった。また、本研究に関連するイオンビームを用いた研究も行なった。
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