研究課題/領域番号 |
09440149
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
中塚 宏樹 筑波大学, 物理工学系, 教授 (10111915)
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研究分担者 |
近藤 公伯 筑波大学, 物質工学系(TARAセンター), 講師 (80225614)
服部 利明 筑波大学, 物理工学系, 講師 (60202256)
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キーワード | フェムト秒パルス / 超高速非線形光学現象 / マイケルソン干渉計 / ポンプ・プローブ分光 / フォトンエコー / 非線形光パルス伝搬 / 色素溶液 / 蓄積フォトンエコー |
研究概要 |
光は電磁波であるが、周波数が10^<14>Hzから10^<15>Hzの可視光領域で、その波動を実時間的に捉えることは不可能である。従って、この領域では干渉法によって光の波動的特性が観測される。本研究は独自に開発したマイケルソン型干渉計を用いて、フェムト秒領域のパルス幅をもつ超短光パルスの波形を位相をも含む波動として観測する方法について研究したものであり、最近盛んになりつつある超高速分光の新たな展開を目指したものである。試料の応答が線形的な領域では、入射光電場の波形と透過光電場の波形との関係が、入射光電場の自己相関と入射光電場と透過光電場の相互相関との間の関係と全く等しくなる。このことより、白色光マイケルソン干渉計を用いて、数種の試料について入射光パルス波形と透過光パルス波形を高い精度で計測して、異常分散領域における光パルスの伝搬特性や、共鳴領域における自由誘導減衰信号等を、光波動として明確に捉えた。さらに、光源を超短光パルスレーザーに置き換えることによって、この方法を超高速非線形分光に応用することを行った。すなわち、色素溶液ジェットを試料とするフォトンエコーの研究では、エコーパルス波形の位相をも含む詳細な観測結果を、色素分子のダイナミックスに対する非マルコフ効果を取り入れた2パルスフォトンエコーと蓄積フォトンエコーの合成波形として説明した。また、同じ試料を用いたポンプ・プローブ法においても、試料を透過したプローブ光パルスの詳細な波形を観測した。その結果、ポンプ光パルスと重なる時間領域でプローブ光パルスの位相が変化することや、ポンプ光透過後にプローブ光パルスのピークが大きくシフトする様子が見出された。そして、これらの現象は、試料を不均一広がりをもった2準位系とみなして、ブロッホ方程式とマクスウェル方程式を連立させて解析したシミュレーションによってほぼ正確に再現された。
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