研究課題/領域番号 |
09440150
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
久我 隆弘 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助教授 (60195419)
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研究分担者 |
上妻 幹旺 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助手 (10302837)
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キーワード | ボース・アインシュタイン凝縮 / 量子光学 / レーザー冷却 / 量子ゼノン効果 / 共振器量子電気力学 |
研究概要 |
本研究の一つの目的である「極低温に冷却された原子のボーズ凝縮(BEC)の観測」は98年12月12日に達成された。 まず、通常の磁気光学トラップを行い、ルビジウム原子を1mK程度にまで冷却した。次に、レーザー周波数をAO変調器でシフトさせ、これも通常の偏光勾配冷却を行い、20μKまで原子を冷却した。光による冷却は、反跳の効果でこのあたりが限界であるため、これ以降は、クローバーリーフ型の四重極磁場中に原子を捕獲し蒸発冷却を行った。四重極磁場中に捕獲された気体原子は、その速度の速いものはトラップの障壁を乗り越えて外に出ていく(蒸発する)。トラップ内の熱平衡状態を保ちながら、次第に障壁の高さを下げていくことで、トラップ内にとどまっている気体原子の温度を次第に下げることができた。この方法により、気体原子を300nK程度にまで冷却した。 ルビジウム気体原子がこの程度にまで冷却された場合、そのドブロイ波長は原子間の平均距離よりも長くなり、原子の波動性(物質波)が顕著に現れてくる。そこで、冷却された原子がボゾンの場合、ひとつの量子状態にマクロな数の原子が入るといったボーズ凝縮が起こる。気体原子がボーズ凝縮したことの確認は、再びレーザーを照射し、その散乱された様子から速度分布を測定することで行った。速度分布が熱分布と異なっていることを観測することで、気体原子のボーズ凝縮を確認した。 以上の手法により、日本では初めてBECの実現に成功した。
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