研究概要 |
ゲルが強く収縮する過程において,ゲルに美しいパターンが形成される.このようなパターン形成過程におけるゲルの高分子網目の動的挙動を,共焦点レーザー走査顕微鏡を用いて観察した.まず,この過程を観察するためのゲルの調整条件を決定し,この後,ゲルを蛍光色素によりラベルした.得られたゲルの溶媒を貧溶媒に変え,ゲルを収縮させた.この過程において,ゲルに泡状のパターンが形成された.このパターンはゲルの協同拡散から予想される特性時間よりかなり早く形成されることが明らかとなった.さらに,このパターンはおよそ1週間後には消滅することから,ゲルに現れるパターンは過渡的な減少であることが明らかとなった.しかしながら,パターンが消滅した後においても,ゲル中における高分子網目の分布は局在している.このことは,パターン形成過程は,非常に速い過程と非常に遅い過程から成ることを示唆するものである.この点を明らかにする目的で,種々の条件下におけるゲルの収縮過程を動力学的に研究した.これらの結果から,ゲルにおけるパターン形成には,ゲルの収縮過程における非線型性が重要な寄与をしていることが推察された.
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