研究課題/領域番号 |
09440154
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
河本 敏郎 神戸大学, 理学部, 助教授 (70192573)
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研究分担者 |
國友 正和 神戸大学, 理学部, 教授 (40031348)
福田 行男 神戸大学, 理学部, 教授 (40025482)
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キーワード | ストカスティック共鳴 / 光双安定性 / ノイズ光 |
研究概要 |
昨年度まで、2種のhybrid型光双安定系を用いてストカスティック共鳴の実験を行い、いずれの系においてもストカスティック共鳴に特有の共鳴を得ることができた。これらの実験は、従来のほとんどのストカスティック共鳴の研究がそうであるように、正弦波を入力信号とした実験である。正弦波は情報を持たないため、研究の結果を直ちに生命や人工的な系における信号処理に適用することはできない。 本年度は、有限の情報を持つ信号を入力した場合の光双安定系におけるストカスティック共鳴について研究を行った。情報伝達の尺度としてMutual Information(MI)を採用して、hybrid型光双安定系を用いた実験および計算機シミュレーションによる研究を行い、ストカスティック共鳴を用いた情報伝達について明らかにした。 1.ランダムな2進のビット列を入力した双安定系におけるストカスティック共鳴の実験とシミュレーションを行った結果、出力MIが入力MIより大きな値をとる、すなわち双安定系を通過させることによって情報伝達の利得が得られることを示した。 2.ビット列を通過させたときの共鳴や情報の利得は、ノイズ相関時間が信号のクロック周期より短いときに顕著であることがわかった。 3.画像データを双安定系に入力した場合のシミュレーションを行った結果、出力画像の鮮明度がストカスティック共鳴特有の振る舞いを示すことがわかった。この結果は、ノイズを加えることによって画像がより鮮明になることを意味し、信号処理への応用の可能性を示すものである。
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