研究分担者 |
小川 康雄 工業技術院, 地質調査書, 主任研究官 (10334525)
橋本 武志 京都大学, 理学部, 助手 (70283588)
鍵山 恒臣 東京大学, 地震研究所, 助教授 (50126025)
笹井 洋一 東京大学, 地震研究所, 助教授 (20012924)
田中 良和 京都大学, 理学部, 助教授 (00025420)
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研究概要 |
三宅島において,自然電位異常の全島的規模の測定を行ったところ,海岸線から山腹にむかって電位が低下する自然電位の地形効果(1.07mV/m)が見られた.この効果を補正し,火山現象に関連した異常を抽出すると,1)多くの噴気がみられる中央火口原を中心に,800mVにおよぶ正の電位異常,2)北北西および南南西山腹の各々約200mVと100mVの負の異常,が特徴的に観測された.負異常の出現域は,1874年,1763年の割れ目火口列と一致している.割れ目から負異常を作りつつ浸透した雨水が,地下のマグマまたは高温ガスによって温められ,再び中央火口にむけて上昇して正の異常を作ったと解釈することが妥当である.このように大規模な熱水対流系が存在することを見いだした意義は大きく,マグマの冷却過程を考える上で重要である. また有珠火山において,広周波数帯域のマグネトテルリック測定を行い,地下比抵抗分布の推定を行った.その結果有珠山およびその周辺の基本的比抵抗構造は,1)山体は数千Ωmと高比抵抗の玄武岩質外輪山溶岩で構成されているが,2)その下部は数〜数10Ωmの更新統および新第3紀層,3)さらに約2km以深の先第3紀に対応する1kΩm程度の高比抵抗層の分布,で要約される.しかし局所的には,山体下部に数〜数10Ωm層が約5km深まで分布している.この解釈として,低比抵抗溶融マグマ溜まりが山体深部に存在し(岩石学的には約4km深に存在する可能性が指摘されている),上記2)の層と区別がつかないのか,上記3)の層が熱水変質を受けて低比抵抗になっているか,のいづれかが考えられ,今後の問題に残される.また火口原直下には,上記2)の層の中に,数100Ωmの高比抵抗体が存在している.これは1977年噴火時に貫入したマグマの残存部が温度低下に伴い高比抵抗化したものと解釈できる.この高比抵抗体の発見は,本研究の大きな成果の一つである.
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