研究概要 |
三宅島においては、8箇所においてプロトン磁力計の連続観測を,年度当初から継続した.本研究で購入したプロトン磁力計も使用している.海流のダイナモ作用による電流は,高比抵抗な島を避けるように流れるが,一部は島内にも流れこみ,離島効果と呼ばれる局所的な磁場を生む.これを定量的にモデル化するためには,島の比抵抗構造を知らなくてはいけない.そこでオルレアン地球物理研究施設(フランス)のJ.ZLOTNICKI博士との共同研究で,のべ4週間で計70点の地点において,AFMT法による比抵抗探査を行った.また島内8箇所に電極を埋め,NTTの電話回線を利用して,長基線の自然電位測定を,98年2月から開始した.一方,力石は伊豆大島-三宅島,三宅島-八丈島間の海底ケーブルを利用して,電場測定を開始した.更に97年10月から神津島に1点,97年12月から八丈島に2点,プロトン磁力計を設置して,連続観測を行っている. 三宅島の全磁力,八丈水路観測所の地磁気3成分と全磁力,海底ケーブル電位差のデータをBAYTAP-Gを用いて解析し,潮汐成分と外部磁場変動成分を分離し,ゆっくりした変動を示すトレンドを求めた.まず三宅島-八丈島間の電位差では,安定した潮汐周期の成分が検出され,海流のダイナモ効果による強い電流の存在が確認された.三宅島では,島の東西の観測点で潮汐磁場が強く,位相が反転すること,島を南北に縦断する観測点では潮汐磁場が小さいこと,八丈島においては潮汐磁場の東西成分が卓越すること,等が分かった.これはほぼ東西方向の長波で近似される潮流で誘導された南北の電流の,離島効果を考慮することで,良く説明できる.トレンドの変化は,海洋速報で半月毎に示される,黒潮の流路変動と良い対応を持つ.特に三宅島においては,黒潮が島をかなり離れた場合に,全磁力が減少することが判った.
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