研究概要 |
昨年度に引続き,奄美大島において11月から臨時地震観測を開始した。観測点数は5点,うち3点は現地トリガーでDATテープに記録しており,昨年度とは僅かに位置が変っている。また,昨年度と同じ位置に設置された2点は,現在,南西島弧地震火山観測所にテレメータされている。 昨年度の観測では,約3ケ月の期間に2000個余り(M≧1.0では600個)の地震の震源が決定された。観測期間中には,特に大きな地震は発生しておらず,ハイレベルの活動がほぼ定常的に起こっていることが分かる。震源分布を見ると,奄美大島直下域の深さ10km以浅には地震はほとんど発生していない。また,約30°の角度で傾斜する奄美大島直下域の稍深発地震面の形状が明瞭に認められた。 地震活動がとりわけ活発なのは,奄美大島中部の住用村の沖合の深さ25〜35kmの部分である。発震機構については,観測点数が少ないため精度に問題はあるが逆断層型でないことはほとんど確実であり,正断層型の可能性が高い。震源断面から見ても,稍深発地震面よりは浅く,マントルウェッジ内の地震と考えられる。このようなタイプの地震は種子島付近以南にのみ起こっており,九州本土ではほとんど認められない。これは,九州〜南西諸島域のテクトニクスを研究する上での重要な観測結果と考えられる。
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