研究概要 |
前年度に引続き,奄美大島での臨時地震観測をおこなった。ただし,瀬戸内に設置した観測点についてはテレメーター化を図るとともに,新たに宝島,および無人島である横当島,また10月初めの悪石島の地震(M5.7)以降は,悪石島に観測点を設置した。大量のオフラインのデータはまだ整理中であるが,悪石島の地震については,臨時観測点の設置によって,広域観測網で20kmほど西方に推定されていた地震が悪石島南方の震源の浅い地震であることが分かった。また,発震機構は横ずれが卓越した。プレートの断裂が推定されている領域に位置しており,WNW-ESE走向の節面を断層とすると,地質学的に推定される構造線と同じく左横ずれになる。ただし,これまでもトカラ列島沿いには群発地震が頻発しており,火山性の活動である可能性は残っている。 九州西方沖では,北大院理・東北大院理・東大地震研究所・九大院理との共同研究として,海底地震計を用いた浅部地殻の3次元構造探査をおこなった。解析は現在進行中である。 指宿市付近に発生した群発地震について,阿多カルデラおよび鹿児島地溝との関連を調べた。その結果,2000年2月から7月にかけて活発であった地震群は正断層型が卓越し,震源は鹿児島地溝に平行する数本の列上に分布するとともに,地震発生域の下限は地溝軸方向に向かって約60°で傾斜することが明らかになった。これは,この地震群が鹿児島地溝の活動に関連することを示す証拠と考えられる。また1999年10月下旬に鬼門平断層沿いに起こった地震群は活動の特徴が異なっており,熱水の関与と考えられる活動パターンが見られた。
|