研究課題/領域番号 |
09440163
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
中塚 武 北海道大学, 低温科学研究所, 助教授 (60242880)
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研究分担者 |
深町 康 北海道大学, 低温科学研究所, 助手 (20250508)
大島 慶一郎 北海道大学, 低温科学研究所, 助教授 (30185251)
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キーワード | 高緯度海洋 / 水塊混合 / 栄養塩 / 溶存酸素 / 窒素同位体比 / 酸素同位体比 / オホーツク海 / 北部北太平洋 |
研究概要 |
本年度の研究実績は、大きく以下の3つ分けられる。1.分析装置の導入・試作:栄養塩自動測定装置(AACS-II)を導入し運用を開始した。また、ウインクラ-法による溶存酸素濃度測定を自動化・精密化するために、酸化還元滴定法による自動滴定システムを構築し実用化を行った。これらにより海水試料に対する迅速・確実な硝酸塩・溶存酸素濃度のデータ取得が可能になった。また、海水中の硝酸塩・溶存酸素の窒素・酸素同位体比を測定するための、酸化・還元炉等を備えた試料前処理システム(真空ライン)を製作した。2.海洋観測と海水サンプル採取:東京大学海洋研究所の白鳳丸による北部北太平洋・ベーリング海航海(KH98-3;97.7-8)にて、各海域で海水試料を鉛直的に採取した。同海域では、同時に貨物船スカグランによる日本・カナダ間往復航路(約1ケ月半で往復)上で、半日おきに表層海水試料を採取している。また、オホーツク海南西部において、97年9-10月と98年2月の2回、北海道大学水産学部の北星丸と海上保安庁の砕氷船そうやによって海洋観測を実施し、海水試料を採取した。3.サンプル分析とデータ解析:貨物船スカグランによって得られたベーリング海及びアラスカ湾における表層水の硝酸の窒素同位体比の時空間変動の分析・解析を行った。表層水中の硝酸濃度とその窒素同位体比の季節変動プロットからは、「見かけの植物プランクトンによる硝酸取り込み時の窒素同位体分別が、ベーリング海において特に小さくなること。これは、当海域における表層水の混合過程が、非定常かつ断続的に生じていること、もしくは水平混合プロセスが重要であること」を示しており、これらの指標を温度・塩分等のトレーサーと組み合わせることで、全く新しい表層水の混合過程についての解析ができる可能性が示唆された。
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