研究概要 |
1.木星メートル波の連続観測を行うための観測システムのうち,本年度の計画分である大型アンテナ製作に関し,放射器の設計・試験の後,9基のアンテナを製作し,蔵王観測所に設置した。製作したアンテナの性能確認試験を行い,初期の設計値どうりであることを確認した。 2.名古屋大学太陽地球環境研究所のアンテナを用いた木星メートル波の観測を,5月から12月まで,1日1回木星の南中時に行い,極めて良好なデータが取得された。本データについては,現在,電離層における偏波効果の補正を行っている。 3.34mパラボラアンテナを用いた木星デシメートル電波の観測から,数日から10日のオーダーの時間スケールをもつシンクロトロン電波強度の変動を確認した。さらに,この変動は太陽のF10.7フラックスと良い相関を持つことが発見された。これらの事実をもとに,シミュレーションによって木星放射線帯粒子の拡散の検討を行った結果,太陽UV/EUVの増大が,木星大気に中性風を誘起しこの効果が木星内部磁気圏に粒子の拡散を増強することが示唆された。
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