研究概要 |
1.木星シンクロトロン電波観測の受信機部の較正を行うため,ループ法による位相・利得較正方法を確立し,フロントエンド間の相対位相差を5.6°,相対利得を0.2dB以下に収束させる事が可能になった。これにより複数の受信機系の位相を設計通りに合成することが可能になった。 2.アンテナ1基及び2基による背景銀河電波の観測を行い,双方から得られた結果を比較することにより,アンテナの加算による受信感度の増加を確認すると共に,327MHzでの銀河電波マップを作成した。 3.製作・性能確認された受信機部・較正部を,4基の大型アンテナに接続して,観測システム全体の性能確認試験を行い,受信感度,アンテナビーム幅とも,初期の設計値どおりであることを確認した。 4.名古屋大学太陽地球環境研究所の木曽観測所及び富士観測所の327MHz電波望遠鏡を用いた木星メートル波の同時観測を、6月から10月まで及び11月-12月の期間に行った。観測は、木星が南中する時間帯において実施し変動の絶対値を正確に求める事ができた。 5.木星磁気圏から放出される高エネルギー電子のデータ解析から,木星磁気圏は,太陽風の動圧と惑間空間磁場の方向によって,高エネルギー粒子放出の効率が変化すること,さらにこの放出は磁気圏の朝方と夕方側で惑星間空間磁場に対する応答が異なることを示し,国際誌(Earth,Planets and Space)に、発表した。
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