研究概要 |
太陽風-磁気圏-電離圏相互作用を,統一的に取り扱える3次元グローバル電磁流体力学的(MHD)モデルを完成させて,惑星間磁場(IMF)の制御により,太陽風プラズマとそのエネルギーが磁気圏電離圏にどのように流入し,蓄積され,解放(消費)されるかを計算機シミュレーションと理論的考察から解明するのが本研究の目的である。このために,太陽風と地球磁気圏相互作用の3次元グローバルMHDモデルに,非圧縮性のアルフベンモードのみならず,圧縮性の磁気音波モードも取り入れて,より統一的な磁気圏電離圏結合を取り扱うことのできるMHDモデルの開発を進めた。 具体的には,磁気圏で計算した沿磁力線電流を磁気圏から電離圏へマッピングする従来の方法では不十分なので,磁気圏の2次元速度場(または対流電場)のベクトル場を磁気圏から電離圏へ直接にマッピングして,1枚の電離層内で,ポアソン式を解くことにより電気ポテンシャルを計算し,沿磁力線電流を磁気圏へ返して,磁場の内部境界条件として解く方法を開発した。富士通VPP-500用に3次元MHDシミュレーションコードを書き換えて,電離圏結合モデルを太陽風と磁気圏相互作用のMHDモデルとつなぎ,非一様グリッド法を導入する準備を行った。次に,IMFの南北成分の反転に対する太陽風-地球磁気圏相互作用のシミュレーションを実行し,IMFの役割を定量的に調べた。太陽風とIMFを変化させた時,時間の経過とともに磁気圏内のエネルギーとプラズマはどのように分配/調整されるのか,更に極磁気嵐等の地球磁気圏電離圏内の擾乱現象とどう係わっているのかをシミュレーションから示した。更に太陽風と高速で回転する木星磁気圏相互作用のシミュレーションを行い,回転の効果による磁気ディスクの形成を調べて,最近のガリレオ衛星観測結果と比較した。
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