研究概要 |
太陽風-磁気圏-電離圏相互作用を統一的に取り扱える3次元グローバル電磁流体力学的(MHD)モデルを完成させて,惑星間磁場(IMF)の制御により,太陽風プラズマとそのエネルギーが磁気圏電離圏にどのように流入し,蓄積され,解散(消費)されるかを計算機シミュレーションと理論的考察から解明するのが本研究の目的である。このために,太陽風と地球磁気圏相互作用の3次元グローバルMHDモデルに,非圧縮性のアルフベンモードのみならず圧縮性の磁気音波モードも取り入れて,より一般的な磁気圏電離圏結合を取り扱うことのできるグローバルMHDモデルの開発を進めてきた。 沿磁力線電流を磁気圏から電離圏へマッピングする従来の方法と2次元速度場(2次元対流電場)を磁気圏から電離圏へマッピングする新しい方法から磁気圏電離圏結合を解き,両者のシミュレーション結果を比較した。2つの方法から,それぞれ電離圏での対流電場,電離層電流及び沿磁力線電流から得られるので,電気伝導度を含めることにより,磁気圏電離圏間の電磁的結合の関係を詳しく調べた。次に,太陽圏磁気圏電離圏相互作用を観測との直接比較からより具体的に調べるために特定のイベントを選んで,太陽と地球間に位置するWIND及びACE科学衛星の1分毎の太陽風とIMFの観測データをMHDシミュレーションのインプットに用いて,グローバル3次元MHDシミュレーションを実行し,地球磁気圏電離圏の応答を調べた。イベントとしてはSuper DARN電離圏レーダー観測から注目されている1996年11月17日,及びElectrojet challenge eventとして取り上げられている。1999年3月19,20日を選んだ。シミュレーションから地球磁気圏電離圏の時々刻々の時間変化を10分毎に得ることができ,今後観測と比較する予定である。
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