研究概要 |
本研究では,走査型レーザー顕微鏡(laser scanning microscope,LSM)による岩石組織の可視化とデジタル画像処理を試みている. (1) 色情報の取得.Kr-Arによる青(波長488nm,B)・緑色(568nm,G)レーザー光と,He-Neによる赤色(647nm,R)レーザー光によって,カラーR・G・B画像を構成することが可能となった.偏光観察においては,R・G・Bレーザー画像の重ねあわせにより,岩石薄片の干渉色・多色性・反射多色性を表現することができる.画像演算により色の違いを強調し,特定鉱物をマッピングすることも試みている. (2) 熱水堆積物の蛍光を画像化し,有機物を鮮明に可視化することができた. (3) 蛍光染色液および樹脂を浸透した堆積物や断層岩をレーザー顕微鏡で観察し,間隙構造や割れ目を可視化した. (4) 反射率の定量化,レーザー顕微鏡では,入力光として単一波長のレーザー光源が用いられること,受光感度がよいこと,さらに反射率の強さがデジタル画像としてマッピングされているため,組織を調べながら指定領域の反射強度の平均値を選ぶことができるという利点がある.今回,サファイアと炭化珪素の標準試料を用いて検量線を引き,付加堆積物中のビトリナイト反射率を測定し,有効数字6桁という非常に精度の良いデータが得られた。
|