研究概要 |
(1)研究対象として,東北日本に残されている古第三紀・白亜紀の火山岩のうち北部北上に分布する原地山層と重茂半島に分布する閉伊崎火山岩類のなかの溶結凝灰岩を選んだ.62〜71Maの年代値を示す閉伊崎火山岩類の古地磁気の伏角値は9.4°,一方114〜119Maの年代値を示す原地山層の伏角値は-20.4°であった.この低伏角は北上地塊に分布する役110Maの年代を示す花崗岩のなかにも報告されてきた.役110Maの花崗岩の分布する北上地塊は,62〜71Ma以降北緯5°から現在地の北緯40°までホクジョウしたと結論した.太平洋プレートの運動と結びつけると,北上地塊は30〜22Maに,反時計回転運動する以前の東北弧に接合したと推測した. (2)東北日本弧に残されている古第三紀・中新世の火山岩を,奥尻島に分布する烏頭川層と青田層から,また仙台南部に分布する高館層から試料採取し,残留磁化の測定を行うとともにとK-Ar年代測定のための鉱物分離を行っている. (3)西南日本弧における白亜紀の岩石試料を,岐阜県に分布する濃飛流紋岩類と山口県に分布する関門層群から採取した.各溶結凝灰岩層の磁気異方性を測定し,熱残留磁化は凝灰岩形成時の火山灰流動方向と無相関であることを,すべての試料について実験的に確認した.
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