研究概要 |
日本海拡大以前の古地磁気方位を研究する目的で,古地磁気学のための岩石試料を,東北日本では南部北上において,西南日本では濃飛地方において採取した. 南部北上に分布する421〜484MaのK-Ar年代を示す宮守苦鉄質岩体を研究対象とし,古地磁気のための試料採取を6カ所で行い74個の試料を採取した.宮守苦鉄質岩体は古生代の初生磁化を保持せず,西振りの偏角で特徴つけることができる第三紀に獲得された二次磁化(D〜300゚,I〜45°)を保持していた.熱消磁によってプロッキング温度は590℃をこえることがなかった.二次磁化は極めて純粋なMagnetiteが担っていることがわかった.13.2Ma〜15.5MaのK-Ar年代を持つ稲瀬火山岩類を4カ所で48個採取した.ブロッキング温度は300℃であり,Titanomagnetiteが残留磁化を保持していることがわかった.古地磁気方位はD〜180°,I〜-30°,であった.13.2Ma〜15.5Maには東北の時計回り回転運動は終了したのかもしれない. 濃飛地方においては阿寺断層の運動によるテクトニクスを明らかにするため,阿寺断層周辺から離れた地域である王滝村周辺で濃飛流紋岩を4カ所で48個を採取した.それらの偏角値はDは17°〜39°であった.阿寺断層周辺から離れた地域の濃飛流紋岩は西南日本の白亜紀を特徴づける東振り偏角値をもっていることがわかった.阿寺断層の運動による変動は,王滝村周辺まではおよんでいないと結論した.
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