研究概要 |
東北日本弧の阿武隈山地と西南日本弧の薩摩半島の野間岬周辺に分布する白亜紀あるいは第三紀の花崗岩と安山岩を採取し,古地磁気を測定した. [結果]阿武隈山地に分布する白亜紀の花崗岩の古地磁気方向は,偏角〜320度,伏角〜60度の西振り偏角値で特徴づけられることがわかった.阿武隈山地は,白亜紀にはアジア大陸の一部であり,日本海の拡大に伴って,大陸から剥離し回転した地塊であることがわかった. 薩摩半島の野間岬周辺に分布する5〜7Maの年代を示す南薩層群の上部層の上部の古地磁気方向は,現在とほぼ同じ方向を指した.しかし下部では,90度程偏角が西偏している(D=242.6.°,I=60.7°,α_<95>=14.6°,k=28.6.)こと,南薩層群下部層内の上部も90度西振り偏角を示す古地磁気方向が見られたことから,薩摩半島の野間岬に大きなテクトニクスの回転があった可能性が考えられた.2度目の調査で採取した南薩層群下部層の下部の安山岩溶岩層から,逆磁極の方向が出現した.南薩層群は5〜7Maの年代の地球磁場反転現象を記録していることを結論した.今後,南薩層群は,地球磁場反転の詳細を明らかにする研岩をすすめる極めて良い研究対象になるに違いない.
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