研究概要 |
昨年に続き,火山地質層序学が詳細に研究されている代表的火山体から系統的にかつ様々な火山岩類を採集した.歴史上噴火が記録されている溶岩類の採集も行った.昨年台風接近のため断念した薩摩硫黄島へ再度調査に入った.その後,伊豆大島の三原火山と九州阿蘇火山の調査と試料採集を実施した.火山岩試料について岩石記載学的に検討し,溶岩は石基と斑晶を分離した. 昨年度購入した可視光連続レーザー発信装置と既存の赤外放射温度計及び関連装置を合わせ用いた基礎実験は成功した.しかし,単結晶或いは石基部分の微少量を用いたアルゴン分析では十分な精度が得られなかった.そこで,質量分析計の感度の向上を試みた.その過程で,ガス抽出精製系に問題が発生し,アルゴン測定ができなくなった.中途半端な修理をせず,既存のガス抽出精製系全体を大改造する決心をした.それに伴い,信号計測系やバルブ制御系をコンピューターによる自動制御を行うことを実施した.この時,既存のコンピュータープログラムはHP basicであったが,将来の動向を鑑みて,Windows上でHP-VEEを用いたプログラム作成を行った.これはプルグラムをビジュアル形式で行うものである.操作性も視覚的でわかりやすく分析ユーザーの便宜を考えたからである.そのプログラムはほぼ完成し,新しい抽出精製系の制御が可能となった.アルゴン分析には感度法を用いることから新たな分析プログラムも開発した.一連の作業は全てコンピューターでの制御である.本来の研究計画である火山岩のK-Ar年代測定までは至らなかったが,本研究を進める上での基礎が充実したと言える.希ガス用質量分析装置をHP-VEEを用いたプログラムで操作する例はないと思われるので,その特徴を今後公表するつもりである.
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