研究概要 |
四国西部および関東産地の秩父累帯,愛知県・岐阜県の美濃帯,北海道北部のイドンナップ帯の野外地質調査を実施するとともに,放散虫化石検討用の岩石試料の採取をおこなった.そのうち,四国西部の秩父累帯に関しては,地質図を完成させ,学術論文として公表した. 西南日本外帯の南部秩父帯を構成する斗賀野サブテレーンと内帯の美濃テレーンを構成する上麻生ユニットを予察的に比較すると,同じ期間に形成された不可体の量が,上麻生ユニットの方が大きい傾向にある.これは,海溝堆積物である粗粒砕屑岩の層厚の違いと関係がありそうである.さらに,チャートの分布様式を比較すると,斗賀野テレーンの方がより薄いチャートが頻繁に砕屑岩類と交互に繰り返すのに対し,上麻生ユニットでは,複数のチャートが集積して厚くなり,その厚いチャートと砕屑岩が交互に分布するという違いがある.今後,これらの予察的に明らかになった点をさらに詰めて,不可体の成長の様子をより具体的に描いていきたい.また,放散虫化石帯1帯ごとの不可体成長量を定量的に求めていく予定である. ジュラ紀放散虫生層序に関しては,フランスで開催された第8回国際放散虫研究集会(1997.9)において発表した.四国西部の秩父累帯に関する研究成果については,日本地質学会81997.10)において発表した.
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