研究概要 |
ハンモック状斜交層理は,世界各地のさまざまな地質時代の浅海層にみられる堆積構造である.この構造はストーム時の波と流れでできると考えられているが,成因はよくわかっていない.この研究ではこの構造を造波水槽で作り,野外観察での堆積構造解析とから,この構造の形成過程を明らかにすることであった.研究成果は以下の通りである. 1)実験装置は申請金額が削られ小型化せざるを得なかったため,強力な波を発生できず,ハンモック状斜交層理は作れなかった.しかし,大型ウェーブリップルやハンモック状の葉理や平行葉理は形成できた.その結果,これまでリップルとプレーンベッドの間とされているハンモック状斜交層理の形成領域はより高領域である可能性が強いことがわかった. 2)野外観察では,ハンモック状斜交層理の葉理1枚1枚をトレースした.その解析から,沖合泥底のものは平行から波状葉理へと変化し,外浜の癒着したものは,侵食面と級化層理を下部にもち,波状から平行葉理への変化が繰り返すことがわかった.これは,ハンモック状斜交層理の特徴である波状葉理の一部が,より高領域の水理条件でできるアンティデユーンの痕跡を含むことを示している. 3)アンティデユーンの形成実験で,ハンモック状斜交層理に近いものができることを発見した. 4)野外観察でハンモック状斜交層理がメガリップル斜交層理に連続して変化し,さらにそれがヘリンボーン構造を示すことを発見した.この構造は造波水路実験でも再現できた.振動流でできるヘリンボーン構造は潮流や河川流のものと違ってオフシューティング葉理を含むことがその特徴といえる.同じ水理条件でも,堆積物の粒径の違いが異なったベッドフォームをつくる効例である.
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