研究概要 |
1.CV隕石からのDish structureの発見:ヴィガラノCV隕石の暗色包有物の中に,地球の砂岩堆積層にみられる皿状構造(Dish structure)と類似の組織を発見した。皿状構造は砂の粒間を水が通り抜けるとき,砂が流動化を起こすことによって形成される組織である。それゆえ,CV隕石中にこの組織が発見されたことは,CV隕石母天体中に水が存在し流動を起こしていたことを示唆しており,暗色包有物は水質変成を受けてできたという我々の解釈を支持している。さらに,この発見は,CV隕石母天体中で水の流れによる微粒子の流動化現象が怒ったこと,またそれにともなう堆積作用があったことを強く示唆しており,46億年前の微惑星でそのような現象があったことを示す最初の証拠である。 2.CM隕石の衝撃回収実験:炭素質コンドライト母天体の衝撃変成作用を解明する目的で,マ-チソンCM隕石の衝撃回収実験を行い,回収試料をSEMを用いて詳細に調べた。与えた衝撃圧力は,5,10,20,25,30,35,40GPaであり,特に20GPa以上の高圧力領域では,この種の隕石がどのような変化を示すかは殆ど知られていない。今回の研究によって,コンドリュールの偏平が衝撃で起こることが初めて確かめられ,その偏平率は衝撃圧力の大きさにほぼ正比例して大きくなることがわかった。また,〜20GPaでマトリックスの局所溶融が始まり,〜40GPaで全溶融にいたることがわかった。その他にもこれまで未知であった衝撃圧力に対するCM隕石の鉱物学的,科学的変化の詳細が明らかになってきた。
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