研究課題/領域番号 |
09440190
|
研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
小倉 紀雄 東京農工大学, 農学部, 教授 (30015127)
|
研究分担者 |
上田 真吾 資源環境総合研究所, 大気圏環境保全部, 通産技官
楊 宗興 東京農工大学, 農学部, 助手 (50260526)
高田 秀重 東京農工大学, 農学部, 助教授 (70187970)
|
キーワード | 化石燃料 / 硫酸イオン / フッ化物イオン(フッ素) / 多環芳香族炭化水素 / 大気降下物 / エアロゾル / 森林生態系 / 北京郊外 |
研究概要 |
北京郊外(Bj)と東京郊外(Tk)の森林集水域において大気降下物(林外雨、林内雨、樹幹流)、土壌溶液、表面流出水などを採取し、微量物質である硫酸イオン、フッ化物イオンなどの物質収支と挙動について考察した。また、石炭燃焼に特有なMolecular Markerの検索を行った。 物質収支については、Bjにおいて可溶性無機イオンは年間合計97.5kg/haが集水域に蓄積されていた。その中で陽イオンは56.7kg/ha、陰イオンは40.8kg/haであり、降水による降下量が大きい成分ほど蓄積量が大きい傾向が認められた。硫酸イオンの降下量は陰イオン降下量の63%を占め、蓄積量も63%となった。流出水量は降水量のわずか1.3%であるため、大気経由で供給される無機イオンの多くは集水域に蓄積されると考えられる。 BjとTkを比較すると、フッ化物イオンの挙動が著しく異なっていた。Bjではフッ化物イオンの約81%が集水域に蓄積されたが、Tkでは約105%が流出した。Bjにおいて蓄積されたフッ化物イオンは土壌中のカルシウムイオンなどと不溶性の化合物(CaF_2)を形成すると考えられる。Tkでは土壌中の可溶性フッ化物イオンが土壌から溶脱し、表面流出水とともに集水域から流出したと考えられる。 Bjにおけるフッ化物イオンの起源として、現地の調査から周辺の住宅地で使用されている石炭の燃焼ガスと氷晶石を原料として使用しているガラス工場からの排出ガスと推定された。 大気エアロゾル中の多環芳香族炭化水素濃度は東京に比べ北京で1桁高く、FluorantheneとPyrene比より北京では固定発生源が、東京では自動車の寄与が相対的に大きいと推定された。
|