研究概要 |
海洋植物プランクトンによる生産物(有機物,オパール,炭酸カルシウム)は,海洋の物質循環の出発物質であり,微量親生物元素もまたそれに乗って循環していると考えられるが,その組成データが欠如している。本研究は,海洋植物プランクトン試料を採集し,その全主・微量元素組成を求め、またその有機物,オパール,炭酸カルシウム部の主要-微量多元素組成をICP発光分光法で明かにするとともに,高速液体クロマトグラフィーにより主要プランクトン種組成を明かにして,元素組成と種組成の関係を明かにし,さらに,異なる海域間での種組成の違いによる元素組成の違いの有無を明かにすることを目的として、以下の研究を行った。 25-335μmの植物プランクトンを主に採集することを目的として、全長200cmのNORPACP-25ネット(25μm)に全長150cmのプレネット(335μm)を取り付けた、ノンメタルの2重構造ネットを製作した。この2重構造ネットを用い、三陸大槌湾では4月の珪藻の春のブルーム時に、相模湾中央の定点ではほぼ隔月の頻度で、また東京大学海洋研究所白鳳丸のKH97-2次航海に乗船し北部北太平洋およびベーリング海で、またKH97-3次航海に乗船し三陸沖太平洋で、植物プランクトン試料を採集し、冷却遠心器により洗浄処理を行った。プォトダイオードアレー検出器高速液体クロマトグラプィーを導入し、植物色素定量法のセットアップを行った。バルク植物プランクトン試料に対し,京都大学原子炉実験所で中性子放射化分析による多元素同時定量を行った。現在分析と解析を継続中であるが、植物プランクトン試料に不可避的に含まれるアルミノ珪酸塩含有量が、陸に近いほど大きいことが示唆された。臭素とヨウ素の含有量に正のの相関関係が見い出された。
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