研究概要 |
本研究は、太陽系初期における隕石母天体の分化過程、コンドライトからエイコンドライトに至る火成作用のタイムスケールを明かにすることを目的にしている。そして、そのような化学・同位体年代情報を担うと考えられる隕石グループ、始原的エコンドライトと普通コンドライト隕石中の火成岩質岩片の微少試料の年代測定法の確立、内部アイソクロン年代決定、微量元素を用いた化学的関連性を明かにする計画で研究を進めた。 当初計画してあった、1.SM-Nd,Rb-Sr同位体の超微量分析のための実験環境(クリーン・ルームと化学分離関連、質量分析とデータ処理のためのコンピュータ・システム)の整備、2.同位体標準試料の微少質量分析法の確立、3.始原的エコンドライト隕石および火成岩質岩片の微量元素分析、について一定の成果を得た。そして、成果の一部を学会発表と論文作成(近日投稿予定)をした。さらに、当初の計画にはなかったが、4.本研究の目的達成と密接に関連した新たな消滅核種による年代決定法(Mn-Cr法)を確立した(1997年度日本地球化学会年会発表、東京都立大学)。さらに、5.始原的エコンドライト隕石の微量元素分化との関連性で興味が持たれる分化隕石(Sher gottite)の同位体分析も進めた(論文発表および1997年度質量分析学会同位体比部会発表、秋田大学)。 以上のように、本年度は、始原的エコンドライトと普通コンドライトの中の火成岩質岩片の微量元素分析を進めると共に内部アイソクロン年代決定のための微少同位体分析法について基本的な部分を確立したので、1998年度は、さらにその精密化と目的隕石についての鉱物分離と同位体分析を進め、年代決定ができる見通しとなった。
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