研究概要 |
1)ゲーレナイト(Ca_2Al_2SiO_7)中の2価陽イオンの拡散係数 Ni,Co,Mn,Ca,Sr,Ba,Feおよび希土類元素(Sc,Tm,Gd)の拡散係数を放射性トレーサを用いて測定した。Fe,Mn,Ca,Sr,Baおよび希土類元素の拡散係数は、予想されたように、オケルマナイト(Ca_2MgSi_2O_7)中より小さい値を示した。しかし、NiとCoは、これらの陽イオンの置換を許す大きさの2価の主成分イオンがないにもかかわらず、予想に反して、大きな拡散係数を示した。希土類元素については、イオン半径によって拡散係数が変化するという結果を得た。 2)銅を含むケイ酸塩中の銅のサイト間分配と結晶構造 銅を含む斜方輝石および今まで知られていなかった新しい構造を持つ鎖状構造を持つケイ酸塩を合成し、共存するサイト間の銅とマグネシウムの分配の測定と、構造決定を、単結晶X線回折法によって行った。斜方輝石中では、銅は、選択的にM2サイトに濃縮されること、および、銅の置換によって、M2サイトの配位構造が著しく歪むことがわかった。新しいケイ酸塩については、銅の占めるサイトのまわりの酸素の配位構造は、Cu^<2+>がヤン・テラー的性質を持つことから予想される典型的な平面4配位の形を取り、このサイトには、Mg^<2+>が全く見られなかった。Mgのサイトは、これに反し、ほぼ正8面体構造を示し、若干のCu^<2+>の置換を許すことがわかった。 3)ケイ酸塩・水間の水素同位体の分別 ケイ酸塩固相中の遷移金属元素の存在状態を知るための基礎データを得る目的で、沸石中の水と水蒸気の間の水素同位体の分別係数を測定した。
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