研究課題/領域番号 |
09440196
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
渋谷 一彦 東京工業大学, 理学部, 助教授 (30126320)
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研究分担者 |
辻 和秀 東京工業大学, 理学部, 助手 (40262258)
河合 明雄 東京工業大学, 理学部, 助手 (50262259)
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キーワード | キャビティーリングダウン / レーザー分光 / 大気化学 / ラジカル / 吸収スペクトル / NO_2 / NO_3 / 大気微量成分 |
研究概要 |
キャビティーリングダウンレーザー分光法の開発を行った。この分光法はパルスレーザーを利用した比較的新しい吸収分光法の一種である。実際には大気圧中で中心波長620nm、反射率の99.97%のミラーを2枚用いてキャビティーを組んだ。レーザー光には、エキシマーレーザー励起の色素レーザーを用い、波長620nm、約20nsのパルス光を得た。レーザー光は一方のミラー背面からキャビティー中に入射され、その光強度はもう一方のミラー背面に設置された光電子増倍管で検出した。時間変化をデジタルオシロスコープで測定した。キャビティー長115cmで観測したリングダウン波形からリングダウンタイムτは1.3μsと求まった。この値は、用いたミラーの反射率から求められる期待値13μsにくらべて著しく短い値となった。この原因として、大気圧条件下実験ではキャビティー内の空気によるレーザー光のレイリー散乱、空気中に存在するエアロゾルなどの微粒子によるミ-散乱、620nm付近に吸収帯をもつNO_2やNO_3などの物質による吸収などによる影響が無視できない。 実験結果から本装置の測定限界は0.28ppm NO_2、0.8ppb NO_3であった。また、光学キャビティーに対する振動の影響が無視できない。その影響を調べるために、連続光源であるHe-Neレーザーを用い、キャビティーからの出射されるレーザーパターンを調べた。このパターンはキャビティー内での横モードを反映しており、その時間変化からキャビティーの安定性がわかる。時々刻々パターンは変化しており、キャビティー内で発振モードが変化していることが確認できた。キャビティーの不安定性の原因として振動対策を現在検討中である。
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