研究課題
基盤研究(B)
キャビティリングダウン分光装置を立ちあげた。測定されたOHのA^2Σ^+-X^2П遷移による吸収スペクトルでは、回転準位を分離した吸収線幅の狭いスペクトル構造が観測されたが、大気圧室温のスペクトルの線幅はレーザーの分解能よりも明らかに大きいため、Lambert-Beer則を満たす。また、大気圧条件下の測定における検出限界は1.5x10^9個cm^<-3>と求められた。この検出感度を、理論的検出限界と比較する。今回の実験で用いたミラーは反射率99.93%であり、光の強度が初期値の1/eになるのに773往復必要になり、1/773が検出限界となる。これを濃度に変換すると5x10^7個cm^<-3>となる。この理論的検出限界濃度に比べ実験的に求められて検出限界は30倍悪い結果となった。この原因は、ゼロ点レベルのふらつきの大きさにある。ゼロ点レベルのふらつきは主に、熱や低周波振動による共振器の不安定性が原因と考えられる。本研究で用いた装置の検出限界は1x10^9個/cm^3であり、対流圏のOH濃度(1x10^6個/cm^3)を計測することはできない。この検出限界を決めている要因は大まかにいうとミラーの反射率、キャビティー長さ、雑音の3種類である。本実験装置で用いたミラーの反射率は99.93%であったがこれが99.993%になると検出限界は理論的には100倍向上する。また、キャビティー長も本実験の約60cmから6mに変更すると検出限界は10倍向上する。また、本実験では10パルスのレーザーを積算したリングダウン波形を計測した。それを1000パルスにすれば10倍の低雑音化が可能となる。更に入射レーザーパルスの空間特性の向上や、キャビティーの堅牢化などによっても、低雑音化が期待できる。それらを組み合わせることにより1000倍の検出限界の向上は可能と結論した。
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