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1998 年度 実績報告書

分子動力学シミュレーションによる脂質二重層膜とイオン透過の動力学

研究課題

研究課題/領域番号 09440197
研究機関東京工業大学

研究代表者

岡崎 進  東京工業大学, 大学院・総合理工学研究科, 助教授 (70194339)

研究分担者 三浦 伸一  東京工業大学, 大学院・総合理工学研究科, 助手 (10282865)
キーワード分子動力学法 / 脂質二重層膜 / 単純拡散 / 水透過 / 自由エネルギー / グラミシジンA / DPPC / DMPC
研究概要

DPPC脂質二重層膜に対し、膜の様々な物性の温度依存性について検討した。シミュレーションにより、膜面積及び膜厚の異方性を持った熱膨張が定性的によく再現され、膨張に対する分子論的な解析を行った。その結果、温度の上昇に伴ない脂質分子アルキル鎖のゴーシュコンホメーションの増加等が明らかとなった。
一方、単純拡散の水の直接透過に関し、DMPC脂質膜を横切る自由エネルギープロフィールの計算を行い、水の浸透、透過機構の解明をはかった。まず、水の自由エネルギーは、バルクの水から脂質分子の親水基近傍へと近づくにつれわずかに自由エネルギーの上昇が見られ、さらにエステル基付近から脂質膜内部へと向かう際に大きな自由エネルギー障壁が存在し、この高さは平均値としで26kJ/molにも及ぶことを明らかにした。そして、膜中央部においてわずかな自由エネルギーの安定化が観察される。このプロフィールと、位置依存の拡散係数とから水の透過係数のモデル計算を行った。その結果、実験値と比べてオーダー的にやや大きな係数が得られたものの、概ねこれを再現できた。また、自由エネルギーは、水の浸透経路に大きく依存することも示され、従来の平均値としての取り扱い、つまり均一膜モデルに対する改善の必要性が明らかとなった。現在、自由エネルギーの経路依存性についての詳細な解析を実行中である。
さらに、グラミシジンAを含む系に対する長時間分子動力学計算へ向けて、分散メモリー型並列演算プログラムを作成中であり、完成しだい計算の実行へと移行する予定である。

  • 研究成果

    (7件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (7件)

  • [文献書誌] N.Yoshii: "A Large-Scale and Long-Time Molecular Dynamics Study of Supercritical Lenard-Jones Eluid An Analysis of High Temperature Clusters" J.Chem.Phys.107. 2020-2033 (1997)

  • [文献書誌] R.Ishii: "A Structural Study of Supercritical Xe,CO_2,and CF_3Cl by Neutron Scattering Measurements" Mol.Phys.95. 43-49 (1998)

  • [文献書誌] M.Shiga: "A Molecular Dynamics Study of the Vibrational Energy Relaxation of the Cyanide Ion in Aqueous Solution" Chem.Phys.Lett.292. 431-436 (1998)

  • [文献書誌] W.Shinoda: "A Voronoi Analysis of Lipid Area Fluctuation in a Bilayer" J.Chem.Phys.109. 1517-1521 (1998)

  • [文献書誌] M.Shiga: "An Influence Functional Theory of Multiphonon Processes in Molecular Vibrational Energy Relaxation" J.Chem.Phys.109. 3542-3552 (1998)

  • [文献書誌] N.Yoshii: "A Molecular Dynamics Study of Sub-and Supercritical Water Using a Polarizable Potential Model" J.Chem.Phys.109. 4873-4884 (1998)

  • [文献書誌] W.Shinoda: "Molecular Dynamics Study on Electrostatic Properties of a Lipid Bilayer:Polarization.Electrostatic Potential and the Effects on Structure and Dynamics of Water Near the Interface" J.Phys.Chem.B102. 6647-6654 (1998)

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公開日: 1999-12-11   更新日: 2016-04-21  

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