研究課題/領域番号 |
09440199
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
野村 浩康 名古屋大学, 大学院・工学研究科, 教授 (50023081)
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研究分担者 |
松岡 辰郎 名古屋大学, 大学院・工学研究科, 助手 (60252269)
香田 忍 名古屋大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (10126857)
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キーワード | 過冷却液体 / 協同運動 / 超音波緩和 / 誘電緩和 / ラマン散乱スペクトル / エチレングリコール四量体 / ボゾンピーク / 二糖類水溶液 |
研究概要 |
本研究では、超音波緩和スペクトル、誘電緩和スペクトル、およびラマン散乱スペクトルを広い温度範囲で測定することにより過冷却液体の協同運動の空間的・時間的スケールの知見を得ることを目的としている。本年度は、エチレングリコール四量体において、様々な実験を行った。まず、-90℃まで冷却可能なラマン散乱セルを作成し、ラマンスペクトルを広い波数範囲で測定した。高波数側の解析より、過冷却状態では、コンホメーション変化が生じることがわかった。また、低波数側のスペクトルには、過冷却状態でボゾンピークが観測された。ボゾンピークの解析により、協同運動の時間的・空間的スケールを算出したところ、それぞれピコ秒程度、1nm程度であった。また、エチレングリコール四量体の誘電緩和スペクトルを測定し、緩和スペクトルが粘性率でスケールできることを見いだした。また、換算Cole-Coleプロットから比較的ゆっくりとしたα緩和だけでなく、ps領域にも緩和現象が存在することを確認した。この結果は、ボゾンピークの結果と対応づけられる。また、超音波緩和スペクトルの測定結果は、二段緩和から、α緩和への移行が観測された。以上の結果より過冷却液体の緩和の時間スケール広い時間スケールで分布して存在することがわかった。 また、本年度導入したネットワークアナライザと誘電体プローブキットを用い、誘電緩和スペクトルの温度依存性の実験もあわせて行った。糖水溶液は高い年度に関わらず緩和時間から得られる活性化エネルギーは水そのものより小さいことがわかり、溶液系のでは純粋液体とは異なる傾向がみられた。
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