| 研究概要 |
希ガスの正イオンとハロゲン含有負イオンのビームを高真空下で交差衝突させるための反応室を中心に、正負イオン源、高速排気系、負イオン生成用YAGレーザー、発光観測系、反応生成物観測用の色素レーザーから成る交差イオンビーム装置を試作中である。本年度は、本研究の予備実験として下記の正負イオン再結合反応の研究を放電フロー装置を用いて行った。
Xe^+(^2P_<1/2>,^2P_<3/2>)+Br^-+He→XeBr(B,C,D),Xe^+,Br^++He (1)
He^++C_6F_5X^-(X=F,Cl,Br,CF_3)→He^++C_6F_6 (2)
CO_2^+(X^2Π_g)+C_6F_6^-→CO(d^3Δ_1,e^3Σ^-,a'^3Σ^+)+0+C_6F_6 (3)
NO^+(X^1Σ^+:v″)+C_6F_6^-→NO(A^2Σ^+,C^2Π_r,D^2Π_r)+C_6F_6 (4)
Xe^+(^2P_<1/2>,^2P_<3/2>)/Br^-/He反応(1)をXe^+のスピン-軌道状態を選別して研究した。XeBr^+とXe^+,Br^+の生成分岐比は、Xe^+(^2P_<1/2>)反応で0.73:0.087:0.19、Xe^+(^2P_<3/2>)の反応で0.99:0.0014:0.0067と決定した。He^+/C_6F_5X^-(X=F,Cl,Br,CF_3)、CO_2^+(X^2Π_g)/C_6F_6^-、NO^+(X^1Σ^+:v″)/C_6F_6^-反応(2)-(4)では中和反応でHe^+、CO^+、NO^+が生成することを紫外・可視発光スペクトルの観測から見い出した。各発光系の強度比から各励起状態の相対生成速度定数を決定した。NO^+(X^1Σ^+:v″)/C_6F_6^-反応(4)に関しては、NO^+(X^lΣ^+:v″)の振動励起がNO^+の生成に与える効果を検討した。その結果NO^+(X^1Σ^+:v″)の振動励起は、NO^+の同一振動励起状態(v'=v″)を生成し、NO^+の回転や相対並進エネルギーへはエネルギー移動が起こりにくいことを見い出した。
|
