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1999 年度 実績報告書

生理活性物質の光化学:ピコ秒時間分解ラマン分光法による研究

研究課題

研究課題/領域番号 09440205
研究機関早稲田大学

研究代表者

高橋 博彰  早稲田大学, 理工学部, 教授 (40063622)

研究分担者 湯沢 哲郎  早稲田大学, 理工学総合研究センター, 講師 (40261200)
伊藤 紘一  早稲田大学, 理工学部, 教授 (40008503)
キーワード生理活性物質 / 光化学 / ピコ秒時間分解ラマン
研究概要

本年度は以下のことを明らかにした.(1)サリチルアニリドの光化学反応において,生成する過渡分子種の構造を明らかにするために,^<15>N-およびN-D,O-D同位体置換体を合成し,そのナノ秒時間分解赤外吸収を測定した.^<15>N同位体置換により1600cm-1付近に波数シフトするバンドが観測されないことから,分子内プロトン移動の結果,過渡種がC=N^+(H)-C型のツイッターイオン構造をとっている可能性は否定される.過渡種はキノイド形をとっている可能性が高いことがわかった.(2)ジベンゾスベレノンの光化学反応において,励起三重項状態T_1での振動冷却過程を観測した.励起一重項状態S_1での振動冷却については,これまでかなりの報告があるが,T_1では初めてである.この分子では,S_1がn-□^*状態,T_1が□-□^*であり,S_1→T_1項間交差が許容であるため,S_1→T_1項間交差が数ピコ秒の短時間に起こる.この結果,T_1の振動励起状態にある分子数が瞬間的に増大するために,振動冷却過程が観測されたものと考えられる.(3)フラビンアデニンジヌクレオチド(FAD)の光一電子還元反応において,生成する過渡分子種の励起三重項状態^3FAD^*,アニオンラジカルFAD^<-・>および中性ラジカルFADH^・の寿命が,電子供与体のアミノ酸の性質と溶液のpHによりどのように変化するかを明らかにした.なお,pH4.3以上では,^3FAD^*の寿命は基本的にはアミノ酸のイオン化ポテンシャルと主鎖および側鎖の解離状態(従ってpH)に依存する.また,FAD^<-・>の寿命はpHのみに依存し,FADH^・の寿命はアミノ酸の性質にもpHにも依存することなく一定である.なお,pH4.3以下では,^3FAD^*はプロトン付加により十数ナノ秒の間に^3FADH^<+*>を生成し,これがアミノ酸から電子を奪って,FADH^・になる.

  • 研究成果

    (3件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (3件)

  • [文献書誌] 高橋博彰: "Nanosecond Time-Resolved Resonance Raman and Absorption Studies of the Photochemistry of Chlorpromazine and Related Phenothiazine Derivatives"Journal of Raman Spectroscopy. (印刷中). (2000)

  • [文献書誌] 高橋博彰: "Picosecond Time-Resolved Absorption Spectroscopy of Luciferin"Chemical Physics Letters. 308. 369-372 (1999)

  • [文献書誌] 高橋博彰: "Photoinduced Intramolecular Hydrogen Tranfer Reaction of Ortho Nitrobenzyl Compounds"Laser Chemistry. 19. 357-362 (1999)

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公開日: 2001-10-23   更新日: 2016-04-21  

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