研究概要 |
1. 高温高圧溶液用XAFSセルおよび小角X線・中性子散乱セルを製作した。セル本体にはインコネルを、窓にはダイヤモンドまたはサファイアを用いた。測定可能は最大圧力および温度はそれぞれ50MPaと400℃である。 2. 0.1 M Co(NO_3)_2水溶液について、25℃(0.1MPa),250℃(30MPa),400℃(35MPa)でXAFS測定を行った。その結果、Co^<2+>の水和数は、常温で6から超臨界状態で4に減少した。Co-H_2O距離は2.08Å〜2.06Åであった。 3. アルコール水酸基のH/D置換したメタノールの中性子回折、Empirical Parameter Structure Refinement法により、室温(25℃),亜臨界(202℃),超臨界(253℃)状態におけるメタノール構造を調べた。室温ではメタノール分子は鎖状に並んでいるが、超臨界状態では5〜6量体クラスターが主に生成しており、密度の減少とともにモノマーが増加することが明らかになった。 4. メタノール-水二成分溶液(アルコールモル分率は0.3)のX線回折測定を25〜200℃で行った結果、100℃付近で水素結合クラスターが大きく減少し、モノマー水分子が増えることが明らかになった。 5. ^<36>Cl/^<37>Cl同位体を用いたLiCl水溶液の中性子回折,EPSR法、球面調和関数展開法により、超臨界水におけるCl^-の水和構造に関する配向相関関数を導出した。超臨界温度ではCl^-周りの水和水分子は配位殼に留まっているが、その配向は大きく乱れていることがわかった。
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