研究概要 |
1.MBE,超高真空装置の試作:本研究では金属超薄膜を用いる事により、空間的に制限された離散的なエネルギースペクトルを持つ電子系と吸着種との相互作用、および、この系の励起状態とその反応性を明らかにすることを目的にしている。そこで、本年度はこの目的に適う実験を可能とする超高真空装置を試作した。この装置は,成長室と観測室の2室からなる。成長室にはK-cell,自動回転可能な試料マニピュレーターを備え,基盤に超薄膜やクラスターを成長させることができる。また,その膜圧に関してはRHEEDによるモニターを行なうことができる。観測室ではLEED,UPS,XPSなどの分光が行なえる。また,基板を低温にすることができる試料ホルダーを工夫し,成長室で準備したサンプルにより低温で反応物を吸着させることができる。現在,装置の基本性能を検証している。 2.パラジウムクラスター上での光反応:NiAl(100)基板上に均一な酸化膜を形成し,その上に金属を蒸着させることにより,サイズの揃った金属クラスターが生成することがわかっている。また,基盤温度と蒸着量を制御することによりクラスターサイズの制御も可能である。この事を利用して,パラジウムクラスター上でのメタンの吸着状態,および,光反応について予備的な実験を行なった。昇温脱離の実験からクラスターサイズが大きくなるにしたがって,メタンの吸着エネルギーが増大することがわかった。また,光照射によってメタンが解離するかどうか,解離した後の化学反応がどのように清浄表面と異なるかはこれからの課題である。
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