研究概要 |
昨年度に引き続き,以下の2つの研究テーマで研究をおこなった. 1.ジアステレオ面選択性の新煙識の構築 (a)1,3-Diselenan-5-one(1)のヒドリド還元の面選択性 新規化合物1の求核付加面選択性をエクステリアフロンティア軌道広がりモデル(EFOEModel)でeqattack優先と予測し,合成を行い,種々のヒドリド還元試薬と反応させ面選択性をNMRで決定したところ,EFOE Modelの予測と完全に一致した. (b)含ヘテロ元素6員環ケトンのヒドリド還元の面選択性 4-Heteracyclohexanone(2)と3-Heteracyclohexanonee(3)(heteroatom=SorSe)の求核付加面選択性をEFOE Modelで2はax-attack,3はeq-attack優先と予測した.そこで,2と3をチオベンズアルデヒド(またはセレナベンズアルデヒド)とDanishefskyジエンのDiels-Alder反応で合成し,種々のヒドリド還元試薬と反応させ面選択性をNMRで決定したところ,EFOE Modelの予測と完全に一致した.これらの実験結果は,いずれもEFOE Modelのジアステレオ面選択性予測理論としての有用性を示すものである. 2.微弱相互作用系の定量解析 (a)Br…SePhBr系の微弱相互作用作用定量評価と反応経路解析 PhSeBrとBr anionの固相における相互作用エネルギーをX線データベース解析とab initio MO計算と組み合わせて定量評価することに成功した. (b)F…SePhX(X=CN,Me,SePh,SPh,Cl、Br)の溶液相における微弱相互作用定量評価に,NMRのスピン結合の温度変化のsimulation fitting法により成功した.
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