研究概要 |
平成9年度に行った光学活性2,4-ペンタンジオール(PD)を架橋に用いるテルナフトテトラオール(TERNOL、3量体に相当)の合成を完成し、テトラヘドロンレターズ誌に発表した。また、TERNOLの大量合成法を行った。最近発表された文献(1996年)の手法に従いラセミ混合物を合成し、カンファースルフォニル化した。2種のジアステレオマーは再結晶により極めて効率的に分割でき、カンファースルフォニル基の還元的脱離により、TERNOLの両鏡像体が光学的に純粋に得られた。ラセミ混合物からの総収率は(R,R)体、(S,S)体それぞれ35%、40%であった。本結果は本年度の化学会春季年会で発表を行う。 また、効率的なポリマー化へのモデル実験として、4量体である光学活性QUANOLの合成をBINOLから行った。光学活性BINOLの6位をブロム化した後、ヒドロキシル基を保護して6-ブロム基を6-ヒドロキシル基に変換した。酸化カプリングにより4量体が得られるが、その構造や収率は保護基や酸化条件に依存し、その詳細は現在検討中である。 これらの合成と平行して、光学活性TERNOLを用いてその安定性、還元性の検討を行った。その結果、BINOLと比べて塩基性条件下での異性化が速いこと、塩基性条件下で比較的高い還元能を有すること、キラルカラム分離において異常な旋光を起こすことを見いだした。これらの研究も現在継続して行っている。
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