ゼオライトの重要な触媒作用のひとつであるMTG(メタノールからのガソリン合成)反応に関連して、その触媒作用で最も重要である炭素-炭素結合の生成メカニズムおよび関連の炭化水素の反応・吸着のメカニズムを分光学的に検討することを目的として研究した。その成旺を報文として発表したものを中心にまとめた。 (1)メタノールの反応により生成したアルコキシ種の反応性 H-ZSM-5上でのメタノールの反応で140℃から240℃でジメチルエーテルが生成するときにゼオライト上に観測される活性の異なる3種のアルコキシ種の反応性を検討し、架橋酸性水酸基上に生成したアルコキシ種がもっとも活性であることがわかった。 (2)ゼオライト上の水酸基の酸性質 ゼオライトの酸性水酸基の高温での挙動、細孔径の小さなフェリエライトへの水吸着、ゼオライト上のシラノール基の酸性質について検討した。 (3)ゼオライト上へのオレフィンの吸着 細孔径の小さいフェリエライトヘのオレフィンの吸着では、オレフィンの形状により選択的に吸着することが観測された。 (4)オレフィンの二重結合の移動 オレフィンは、H-ZSM-5などの酸型ゼオライト上で0℃以下で比較容易に二重結合が移動する異性化が起こることが観測され、この反応は有機化学的反応機構で仮定されているプロトン化中間体を経ないで進行することがわかった。 (5)オレフィンの吸着により生成したアルコキシ種の構造と反応性 ゼオライトへのイソブテンの吸着を低温から室温まで検討し、温度により吸着構造が変化するのが観測された。200K以上では2量化したアルコキシ種が観測された。 (6)ゼオライト上でのアルカンのH/D交換反応 ゼオライトの酸性水酸基とアルカンとの水素/重水素交換反応を検討し、そのメカニズムを考察した。
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