研究概要 |
界面を反応場とする分子認識法として,水素結合を利用したイオン認識試薬の合成とその機能評価を行った。また,界面における反応として,液-液界面における錯生成反応の界面張力測定による解析と自己会合体への分配に基づく解析を行った。界面計測法として界面の非線型効果を利用した第二高調波発生による界面吸着分子の状態解析法の確立を図った。 界面では水の水素結合能がバルクとは異なることに着目し,認識試薬の界面固定化の前段階として,水素結合を利用した各種イオン認識試薬の合成と評価を行った。生体成分として重要な,酢酸,りん酸,塩化物などのアニオンやアルカリ金属イオンに対してチオ尿素やクラウンエーテルを認識部位に持ち,ニトロフェニル基による分子内電荷移動を利用した吸光,ピレンのエキサイプレックスを利用した蛍光,フェロセンによる電気化学へと情報交換する試薬の合成を行い,NMR滴定などによって生成定数の算出並びに各イオンに対する選択性の評価を行った。 液-液界面反応として2価の金属イオンと鎖長の異なるアルキル基を有する8-キノリノールとの錯生成について,動的界面張力測定により界面反応機構を解析を検討した。また,シリカ表面に形成される界面活性集合体について溶質分子の分配挙動の解析を行った。 界面吸着現象について第二高調波発生法と界面張力法との比較を行い,長鎖脂肪酸について両者とも対応する吸着定数を与えること,また第二高調波発生法による吸着分子の配向性を検討したところ,バルク濃度によらず一定の値をとることが分かった。
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