研究課題/領域番号 |
09440255
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研究機関 | 福岡歯科大学 |
研究代表者 |
関口 睦夫 福岡歯科大学, 歯学部, 教授 (00037342)
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研究分担者 |
作見 邦彦 九州大学, 生体防御医学研究所, 助手 (50211933)
下川 英俊 福岡歯科大学, 歯学部, 助手 (50122792)
伊東 理世子 福岡歯科大学, 歯学部, 助手 (10140865)
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キーワード | 活性酸素 / 遺伝子障害 / 酸化塩基 / 突然変異 / 変異タンパク / DNA修復 / 遺伝子 / 塩基置換 |
研究概要 |
これまでの大腸菌を用いた研究から、酸化DNAの修復にはMutMとMutYの2つの遺伝子産物が働いており、また酸化されたグアニンを含むDNA前駆体の排除にはMutT遺伝子産物が働いていることが明らかにされた。本研究の目的は哺乳動物細胞における類似のタンパクを同定し、疾患との関連を明確にすることにある。本年度の研究においては、まずマウスとヒトについてMutTのホモログであるMTH1遺伝子を同定し、その構造を明らかにした。 ヒトのMTH1遺伝子は5つのエキソンから成り、その全長はほぼ10kbである。これから転写されるmRNAは様々の異なった構造をとり、合計7種類の異なるmRNAがつくられることがわかった。いずれのmRNAもコーティング領域を含むが、その合成の率は異なっている。特に注目されることは、個人によっていくつかのmRNA分子種の合成がないことで、これはスプライシングをうける部位の塩基置換によることが明らかとなった。マウスにおいてもヒトとほぼ同じ構成の遺伝子が見出され、そのエキソン周辺の配列も共通していた。その転写調節領域についても詳しい解析を行った。 ヒトの集団についてエキソン領域内の塩基配列を調べたところ、ある家系では塩基置換の結果アミノ酸が変化しているMTH1タンパクがつくられることがみつかった。すなわち83番目のValがMetに変化しているものがあり、この変異型タンパク(Met^<83>)は正常型(Val^<83>)に比べ熱により不安定で、かつ種々の物理化学的性質に違いがあることがわかった。その他にも表現型に現れない塩基置換も見出された。これらの変異がどのような結果をもたらすかについて今後研究する必要がある。
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