研究課題/領域番号 |
09440255
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
遺伝
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研究機関 | 福岡歯科大学 |
研究代表者 |
関口 睦夫 福岡歯科大学, 歯学部, 教授 (00037342)
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研究分担者 |
伊東 理世子 福岡歯科大学, 歯学部, 助手 (10140865)
下川 英俊 福岡歯科大学, 歯学部, 助手 (50122792)
真田 正幸 福岡歯科大学, 歯学部, 講師 (40084264)
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研究期間 (年度) |
1997 – 1998
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キーワード | 活性酸素 / 酸化DNA損傷 / 遺伝子欠損マウス / 自然突然変異率 / 自然発がん / 遺伝子ターゲティング / 胃がん / DNA合成前駆体 |
研究概要 |
酸素は生命活動に必須であるが、その高い反応性のために種々の傷害を生体にもたらす。中でも遺伝子DNAの酸化損傷は深刻である。DNA損傷が起こらないようにしたり、たとえDNA損傷がおこってもそれを見つけて修復する機構をもつことによって生物ははじめて地球環境下で生存し続けることが可能になったと考えられる。本研究はその機構に関与する遺伝子を同定し、さらにその遺伝子を欠く細胞株やマウスを作製することによってその機構の生物学的意義を明確にしようとするものである。 そのような遺伝子の1つとして我々はMTH1を同定したが、その役割を明らかにするためその遺伝子をクローニングし、その配列に基いて遺伝子ターゲティングを行いMTH1遺伝子を欠くマウスES細胞を作出した。MTH1^<-/->の細胞は正常に増殖するが、その自然突然変異率は正常細胞に比べ約3倍高かった。MTH1を欠くES細胞を用いてさらにMTH1遺伝子をホモで欠損するマウスを作出した。このマウスは形態的には正常で、1年6ケ月にわたって飼育した限りで特に大きな病変は認められなかった。しかしその時点で解剖して内部臓器を調べると約19%の頻度で胃にがんができていることがわかった。野生型マウスではこれまで調べた限り胃の腫瘍発生は認められなかった。これらの結果は酸化によって生じるDNA合成の異常の前駆体8-oxo-dGTPを排除するシステムが欠けると自然突然変異、ひいては自然発がんの頻度が上昇することを示しており、個体レベルの生命活動においてこのような機構が大きな役割を果たしていることを示している。
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