研究課題/領域番号 |
09440257
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
遺伝
|
研究機関 | 国立遺伝学研究所 |
研究代表者 |
城石 俊彦 国立遺伝学研究所, 系統生物研究センター, 教授 (90171058)
|
研究分担者 |
小出 剛 国立遺伝学研究所, 系統生物研究センター, 助手 (20221955)
|
研究期間 (年度) |
1997 – 1999
|
キーワード | 形態異常 / Tail shot(Ts)変異 / ポジショナルクローニング / cDNA選択法 / リボゾーム蛋白 / RpI38遺伝子 / トランジスジェネシス / transgenesis |
研究概要 |
Tail-short(Ts)は、骨格形成異常を示す優性突然変異である。Tsホモ個体は発生初期段階の桑実期に形態の異常を示し、胚盤胞期にその発生を止める。Tsヘテロ個体は、ホメオティックトランスフォーメーションを含む骨格形成異常に加えて頭部神経管形成異常、多指等が高い頻度で観察される。Ts遺伝子は、第11番染色体の末端側にマップされている。Ts変異の原因遺伝子をポジショナルクローニング胞により単離することを目的として詳細な遺伝子地図を作製した。この結果、Ts遺伝子がマウス11番染色体遠位部に位置する2つのマイクロサテライトマーカーD11Mit128とD11Mit256に挟まれた0.16cMの領域に存在する事を明らかにした。さらに、BACcloneによるこの領域のcontigを完成し、更に詳細な解析を加えた結果、Ts遺伝子は2つのマーカーD11Rin56とD11Nig17に挟まれた約250kbp以内の領域に存在することが明らかとなった。この領域に存在する遺伝子をcDNA直接選択法で単離したところ、5つのTs候補遺伝子が得られた。これらの中で、リボゾーム蛋白のサブユニットをコードするRpI38遺伝子を詳細に解析した結果、Ts変異マウスでは、この遺伝子を含む18kbの領域が欠失することを明らかにした。加えて、Tsマウスのalleleと考えられているTail-short(Tss)マウス及び、Rabo torcido(Rbt)マウスにおいてRpI38遺伝子を調べたところ、Tssマウスでは第3exonと第4exonの間に375bpのinsertionが存在し、Rbtマウスでは翻訳領域に1bpのinsetionが認められた。両変異マウスとも開始コドン近傍でフレームシフトが生じ、正常なタンパクが生成できないと予想される。さらに、RpI38遺伝子がTs変異の原因遺伝子であることを証明するために、野生型のRpI38遺伝子をトランスジェネシスの手法によりTs変異マウスに遺伝し導入したところ、完全に変異表現型が救済されることが分かった。以上の結果より、これらのマウスで観察できるホメオティックトランスフォーメーションを含む中軸骨格形成異常は、RpI38遺伝子の変異によって引き起こされることが示された。
|