これまでにシロイヌナズナのサイトカイニン高感受性突然変異体ckh1(cytokinin hypersensitive1)とckh2を分離している。CKH1遺伝子座に強く連鎖するCAPSマーカーm59周辺のTACのcontingクローンを分離した。相補性を調べるために、これらをcki1変異体に導入しているところである。ここで、購入した遺伝子増幅装置を用いて遺伝子操作をおこなった。 CKI1は、アクティベーションタギングにより、遺伝子が過剰発現した時にサイトカイニン非存在下でもサイトカイニン応答を引き起こす遺伝子としてクローニングしたもので、その産物はヒスチジンキナーゼに相同性がある。CKI1遺伝子産物がヒスチジンキナーゼとしての活性があるのかどうか、また、シグナル伝達系での下流はどうなっているのかを知るために実験を行った。CKI1産物は少なくとも酵母の中ではヒスチジンキナーゼとして働き、YPD1にリン酸基を転移する活性があるらしいことを示した。また、保存されたヒスチジン、アスパラギン酸残基のアミノ酸置換の実験を行い、酵母中での活性にこれらの残基が必須であることがわかった。また、これらのアミノ酸は植物中でもCKI1が活性を示すためにも必須であることがわかった。これらの結果は、リン酸化型のCKl1がサイトカイニン応答を引き起こすらしいことを示唆している。cki2もアクティベーションタギングにより得られた突然変異体であり、cki1に似た表現型(サイトカイニン応答を常に示す)をもつ。原因遺伝子CKI2のcDNAのクローニングをおこなったところ、CKI1とは別のヒスチジンキナーゼ類似蛋白質をコードしているらしいことがわかった。
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