| 研究概要 |
植物ホルモンの一種、サイトカイニンは、植物の形態形成に重要な役割を果たしている。本課題は、サイトカイニン受容および情報伝達系についての研究である。本年度の研究を始めるまでに、サイトカイニンの情報伝達系に関わる遺伝子のCKI1遺伝子をクローニングしている。また、サイトカイニン情報伝達系に関する突然変異体を分離し、それらをそれぞれ、cki2,msh,ckh1,ckh2となづけている。本年度は、昨年度より引き続き行っているcki2とmsh突然変異体の原因遺伝子のクローニングを終了し、それぞれCKI2、MSHと名づけた。CKI2遺伝子産物はハイブリッド型のヒスチジンキナーゼに属する。cki2変異体では、一部欠損したCKI2遺伝子産物が合成されることにより、恒常的サイトカイニン応答を示す表現系が引き起こされている可能性が高いことがわかった。MSH遺伝子産物は、ホメオボックスと相同性のある新規の遺伝子であった。クローニングしたMSH遺伝子をシロイヌナズナのカルス中で過剰発現させると、サイトカイニン非存在下でもカルスは多くのシュートを形成したことより、MSH遺伝子はシュート形成に関わる重要な遺伝子ではないかと考えている。CKI1遺伝子は、サイトカイニン受容体をコードしている可能性が高いと考えている。このことを証明するため、CKI1を大量発現させ、生化学的研究を行う系を開発中である。ここに述べた研究を継続することにより、サイトカイニン受容からシュート形成等のサイトカイニン応答に至る情報伝達経路が理解せきると考えている。
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