研究課題/領域番号 |
09440269
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
西谷 和彦 東北大学, 大学院・理学研究科, 教授 (60164555)
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研究分担者 |
横山 隆亮 東北大学, 大学院・理学研究科, 助手 (90302083)
塚谷 裕一 東京大学, 分子細胞生物学研究所, 助手 (90260512)
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キーワード | Plant / Cell Wall / xyloglucan / gene / construction / EXGT / GFP / FITC-xyloglucan |
研究概要 |
本研究は、シロイヌナズナおよびタバコ培養細胞のエンド型キシログルカン転移酵素(EXGT)遺伝子群を手がかりとして、植物細胞壁の高次構造の構築とその制御に係わる分子過程の解明を目指して、計画したもので、本年度の研究により以下の成果を得た。 1) アンチセンス法によりEXGTタンパク質の発現量に変化のある細胞株を選抜した形質転換タバコ培養細胞を作成した。 生体内でのEXGT活性を細胞学的による追跡するために、FITC標識キシログルカンオリゴ糖を合成し、この蛍光プローブを用いて、細胞壁構築活性を可視化する方法を工夫した。これらの方法を用いて、細胞壁構築活性を解析した結果、EXGT発現量と細胞壁構築活性の間に高い相関があることが分かった。また、EXGTタンパク質の蓄積の少ない形質転換体株では、増殖速度の減少と細胞形態の異常が見られた。 2) EXGTの分泌ペプチドにGFPを繋いだ融合タンパク質(EXGTsp-GFP)、シグナルペプチドを含むEXGTタンパク質にGFPを繋いだタンパク質(EXGT-GFP)を、タバコ培養細胞内で発現させた安定な形質転換細胞株を複数種作成した。間期のEXGTsp-GFP細胞株では細胞壁に顕著な発現がみられた。また、細胞内では原形質内のERやゴルジなどの膜輸送経路と思われる部分で強い蛍光が観察された。この結果はEXGTspが細胞壁中への分泌シグナルとして機能していることを示している。一方、分裂期にある細胞では、隔膜形成体および細胞板において強いGFPの発現が見られ、その際、細胞壁や細胞外への膜輸送経路での発現が間期の細胞に較べて著しく低下した。これは分裂時にEXGTが主として隔膜形成体に向けて輸送され、細胞板内に蓄積されることを示している。この結果は、EXGTが細胞板での細胞壁新生に関与することを始めた示したものである。
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