研究概要 |
エンド型キシログルカン転移酵素(EXGT)のキシログルカン分子間のつなぎ換え反応をin vivoで実証するために、フルオレッセインにより蛍光標識したキシログルカンオリゴ糖を合成し、これを蛍光ブローブとしてタバコ培養細胞BY-2に投与することにより、EXGTのつなぎ換え反応を細胞レベルで確認することに初めて成功した。 また、この方法を用いて、EXGTのアンチセンス及びセンスRNAを過剰に発現した形質転換細胞おける反応活性の増減を視覚的に評価することができた。この事実はEXGTのキシログルカン分子間のつなぎ換え反応が細胞伸長の細胞壁再構築だけでなく、細胞分裂時における細胞壁構築の初期段階から働いている可能性を示すものとなった。 EXGTのつなぎ換え反応がいつ、どこで行われているか明らかにするため、EXGTの局在及び輸送経路を、間接蛍光抗体法とEXGT-GFP(Green Fluorescent Protein)融合タンパク質を用いて解析した。その結果、EXGTは細胞が伸長する間期には小胞体-ゴルジ体輸送経路を経て細胞壁へ分泌され、細胞分裂期には、EXGTの細胞外への分泌が遮断され、細胞板に輸送されることが明らかとなった。 EXGT遺伝子群の植物体における役割を明確にするために、T-DNAの挿入によりEXGT遺伝子ファミリーに属する遺伝子が欠損しているシロイヌナズナの突然変異体をPCRとサザンハイブリダイゼーション法でスクリーニングした。約17000ラインのT-DNA挿入形質転換体から7ラインのEXGTファミリー遺伝子欠損突然変異体をスクリーニングした。このうち3ラインについては、各々、EXGT遺伝子ファミリーに属するEXGT-A2,XTR4,XTR15が欠損した突然変異体であることをT-DNA挿入領域の塩基配列をシークエンスすることにより明らかにした。
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