研究概要 |
マイクロボディ機能変換におけるタンパク質のオルガネラ膜透過の調節を明らかにすることを目的として、緑葉パーオキシゾーム酵素であるヒドロキシピルビン酸レダクターゼのcDNAクローニングを行った.その結果,2種類のcDNAがクローニングされた.1つは386アミノ酸からなるタンパク質をコードしており,今1つは381アミノ酸からなるタンパク質をコードしていた.両cDNAの塩基配列および推定1次配列はほとんど一致していたが,そのc末端に違いがあり,1つはマイクロボディへの輸送シグナルとしてしられるSKL配列をそのC末端にもつのにたいし,今1つはその配列をもたないことが判明した.Southern blot解析から,同酵素はシングルジーンとして存在していることが示唆されるとともに,同酵素の遺伝子の構造解析から,このcDNAに対応する2種類のmRNAはalternative splicingによって生成することが強く示唆された.更に,細胞分画実験から,対応する2種類のヒドロキシピルビン酸レダクターゼが存在すること,1つは緑葉パーオキシゾームに,今1つは,細胞礎質に局在することが判明した.この結果は,緑葉パーオキシゾーム酵素の機能発現にalternative splicingによるmRNAのスプライシングレベルの調節が関わっていることを初めて明らかにしたもので,マイクロボディの可逆的機能変換における新たな調節機構の存在を示したものである.またこのalternative splicingが光照射によって調節されていることを示す知見が得られており,今後その調節の分子機構の詳細を解析していく予定である.
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