研究課題/領域番号 |
09440272
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
堀 輝三 筑波大学, 生物科学系, 教授 (90057563)
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研究分担者 |
宮村 新一 筑波大学, 生物科学系, 講師 (00192766)
野崎 久義 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助教授 (40250104)
井上 勲 筑波大学, 生物科学系, 教授 (70168433)
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キーワード | 雄性配偶子 / 精子 / コケ植物 / シダ植物 / 藻類 |
研究概要 |
今年度の研究成果の主なものを、以下に列記する。 1 群体性ながら、生殖法において同形配偶から異形配偶/卵生殖に進化したvolvocalean-chlamydomonadalean藻の有性生殖時における配偶子の接近行動を、同形配偶で16細胞群体性のGonium pectoraleと、異形配偶で32細胞性のEudorina illinoisensisをビデオ解析した。Goniumでは、同形配偶子は鞭毛先端部相互で接着し、その後配偶子の管状接合構造(mating papilla)の先端部同士が結合する。次いで、細胞質の融合が開始された。Eudorinaでは、雄性配偶子がもとまって遊泳しながら雌性配偶子嚢に接近して孔をあけ、個々の雄性配偶子となったものが侵入して細胞の融合が行われる。 2 上の2つの生殖法進化段階の配偶子では、光学顕微鏡レベルでの眼点配置の非対称性は確認できるが、遊泳行動との関係は現時点では確認できていない。 3 本研究で、欧州から初めて分離採集したEudorina eleqansは雄雌異体の同株接合(homothallic)で、現在まで本属では知られていない有性生殖タイプである。 4 異形配偶子性大形嚢状緑藻のBryopsis maximaで、有性生殖における配偶子鞭毛のティッピング現象が初めて確認された。これは大形藻における初めての報告である。 5 1850年から1970年代までのに約220編の文献をもとに、シャジクモ藻、コケ/シダ植物の精子の外部形態を解析したところ、全体を通して154例の中の70%強のものは細胞本体部が左巻、27%が右巻、1精子中に両様をもつもの3例であった。しかし、様式不明のものも116例あり、その70%以上がコケ植物である。 6 コケ植物では左(15)、右(9)、不明(83)であり、精子形態の顕著な特徴は遊泳開始時の短時間だけに示されるようである。シダ植物では左(73)、右(28)、不明(31)であり、左巻形態の特性が強い。 7 ゼニゴケの精子は2本の鞭毛(前鞭毛と後鞭毛)をもつが、それぞれの鞭毛打パターンは異なることがわかった。カニクサ(シダ植物)の精子と同様、後向きの鞭毛運動は行わない。障害物にぶつかると、1本の鞭毛(前後は不明)の鞭毛打と細胞本体の回転によって進行の方向転換をおこなう。
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