研究課題/領域番号 |
09450001
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
武藤 俊一 北海道大学, 大学院・工学研究科, 教授 (00114900)
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研究分担者 |
杉山 芳弘 富士通研究所(株), 機能デバイス研究部, 研究員
横山 直樹 富士通研究所(株), 機能デバイス研究部, 部長
白峰 賢一 北海道大学, 大学院・工学研究科, 助手 (10241358)
芳賀 哲也 北海道大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (00113605)
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キーワード | 波長多重 / 光メモリ / 量子ドット / スケール関数 / スケール則 |
研究概要 |
1. InAs量子ドットの形成とスケール関数による形成機構の評価 GaAs基板上にStranski-Krastanow(S-K)モードにより作製されるInAs量子ドットについては、分子線結晶成長法(MBE)などによる多くの研究報告があるが、そのサイズ分布には、どの報告でも10%程度のバラツキがある。本研究では、このサイズのバラツキを利用した波長多重の光メモリの実現を目指しており、このために、量子ドットの平均サイズおよびサイズ分布は重要なパラメータである。成長メカニズムの知見を得、デバイス化のための基礎データを得るためにInAs量子ドットの作製とスケール関数の評価を行った 昨年度は基板温度490℃でMBEにより成長し、成長直後に1分間のアニールをして形成したInAs量子ドットにおいてサイズ分布のスケール則が成立することを見出した。今年度は、さらにアニールを行わないサンプルにおいても、同じスケール関数が得られることを確認し、サイズ分布スケール則の普遍性を確認した。更にドットの形成機構を調べるためドットの空間分布のスケール則を調べたところ、サイズ分布よりはバラツキが大きいものの、スケール関数が存在することを見出した。2つのスケール関数を計算機シミュレーション、および理論予測と比較することにより、量子ドットの形成は、これまで報告されているような歪みの寄与する複雑なモデルではなく、極めて単純な島形成モデルで記述される可能性が高いことが分かった。 2. InAs量子ドットの多層化の検討 波長多重の光メモリでは量子ドット層を40層程度多層化することが必要とされる。昨年度形成した20層の積層構造を断面TEM観測により詳細に評価したところ、一部にV字型の転位が認められた。転位はInの供給過剰により生じた大きな島から発生していることが分かり、供給量に留意すれば所望の量子ドットの積層構造を形成できる見通しを得た。
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