現在シリコン中に高温で熱平衡に存在する点欠陥の性質を解明することが、実用および基礎の分野で強く要請されている。実用的には、それらの点欠陥が単結晶育成後クラスターを形成し、育成結晶の電気的作用を不均一にするからであり、基礎的には置換型不純物の拡散機構がまだ解明されていないからである。特に、格子間原子の場合には、その検出法すら知られていなかった。本申請者は、まず水素雰囲気中で育成したシリコン結晶の光吸収を測定し、それらの光吸収線が格子間原子と結合した水素原子の振動によるものであることを明らかにした。そした、高温で存在する格子間原子の新しい検出法、すなわち「試料を水素中で加熱・急冷後、その光吸収を測定する」を提案した。そしてそれを金をドープしたシリコンに適用し、この結晶中の格子間原子の形成エネルギーが約2.1eVであると決定した。
|