研究概要 |
(1) 電子分光による金属Mg,Ba薄膜の初期酸化過程 MgO,BaOの薄膜成長の基礎として金属Mg,Baの初期酸化過程を,オージェ電子分光,エネルギー損失分光,紫外光電子分光を駆使して探求し,初期酸素吸着状態から酸化膜形成への境界となる酸素暴露量,基板温度などを明らかにした. (2) 高感度RHEEDによるアルカリハライドヘテロ界面の評価 回折スクリーンの前にマイクロチャネルプレート(MCP)を設置して電子線を増倍することにより,従来の電子線量を8000分の1まで減らすことに成功した結果,多くのへテロ構造について臨界膜厚が明らかとなり,ヘテロ構造の詳細な解明が可能となった. (3) 複合へテロ構造による岩塩型酸化物のへテロ成長 MgO/LiF/NaCl/GaAsという複合へテロ構造の作製を試みた結果,極めて平坦性の高いMgO表面を得ることができた.これにより,複合へテロ構造という概念が,イオン結晶/半導体といった極めて異質な物質間の界面形成に有用であることが初めて示された. (4) イオン結晶/半導体へテロ構造の光電子収率 光電子収率の測定装置を本年度の研究費により作製しNaCl/GaAs(001),(111)構造の種々のNaCl膜厚の試料を作製して光電子収率の絶対測定をおこなった.これによりNaCl/GaAs構造の光閾値が求まり,ヘテロ構造のband alignmentの詳細が明らかになりつつある.
|